" B "
オリジナル6曲を含む、初の全曲日本語のアルバム、「ビー」
全曲試聴
収録曲
(曲名クリックで試聴できます)
01 浜千鳥
02 七つの子
03 やすらぎ
作詞 : 宮﨑義敬 作曲・編曲 : 青木弘武
04 直き瞳に
作詞 : Sunny Kamiya 作曲 : 田中洋太 編曲 : 松本真昭
05 旅路の果てに
作詞 : 宮崎義敬 作曲 : 岩崎大輔 編曲 : 青木弘武
06 ゴンドラの唄
07 胸の振子
08 渚
作詞 : Baru 作曲 : 藤 司 編曲 : 松本真昭
09 愛しきものよ
作詞 : 宮崎義敬 作曲 : 松本真昭
10 花散らしの雨
作詞 : 北森鴻 作曲 : Baru 編曲 : 松本真昭
11 ラストワルツ
BARUさんとの出会い
「人生は出会いである」といわれるが、長門市の油谷湾を望むホテル楊貴館で、社長の岡藤和治氏に紹介されたのが12 年前のことだった。
学生時代からボサノヴァやジャズに傾倒していたという彼女の、50才になって初めて歌ったというCD を贈られたのは少し経ってからのことであったが、その中に「テネシーワルツ」があった。江利チェミが昭和27年に歌ってヒットした曲だが、BARUさんの歌はひと味ちがっていた。
いわば熟年の味で、これは元々失恋の歌だから、人生の哀歓を表現できる歌にこそ深い共感があるもので、「あなたのテネシーワルツはいいですね」と率直な感想を伝えたのがきっかけで、交流を重ねるようになった。
これが5枚目の、このたびのアルバムは選曲の幅が広く、多彩である。
私の企画する各地での「鎮守の森コンサート」でも懐かしい日本の歌からジャズまでを歌って多くの人を楽しませてきたが、童謡の「浜千鳥」や「七つの子」も、彼女が歌うと独特の味わいがある。
「やすらぎ」は、ジャズピアニストの青木弘武氏の作曲で詩が生かされ、それをまた彼女がほどよく歌っているからであろう。
ハワイのマウイ島に住んでいたサニー・カミヤ氏とは彼女の紹介で一度こちらで会ったことが有り、「直き瞳」という作詞には周防大島の日本ハワイ移民資料館に行った際の当時のマウイの暮らしと自分のそれとを重ねた、彼なりの思いが込められている。作曲は私の「花恋えば」や「里山の子守唄」を作曲した東京の銀河管弦楽団の指揮者で作曲家の田中洋太氏で、お互いに釣り好きだから釣り便りを交わしている。
「旅路の果てに」はBARUさんが本格的に歌い始めて10周年の、還暦の祝いを兼ねたコンサートのために贈ったもので、「群青の海」「島に咲く花」「わたしの海」を作曲してもらったピアニストであり作曲家の岩崎大輔氏によるものだが、スケールの大きい曲に仕上がっている。
それをよく歌い込んでいる彼女はまさに人生の佳境に入ったと言うべきであろうか。
「ゴンドラの唄」と「胸の振子」は一昨年の秋、伊勢の神宮の内宮参集殿能舞台で奉納コンサートを行うという光栄に浴したとき、私の作詞した5曲とともに歌ったもので、懐かしい曲だが、特に「ゴンドラの唄」は黒沢明監督の「生きる」という映画の中で主人公を演じた志村喬が小雪の降る夜、公園のプランコをゆっくりこぎながら、この歌を口ずさんでいたシーンが今も鮮やかに蘇ってくる。
藤司氏の作曲した「渚」にBARUさんが詩を付けたというのも一興で、彼女にはすでに「レインボーシャワーツリー」という作詞もあり、なかなかのものである。
「愛しきものよ」は加齢とともに次々に友人や知己がこの世を去っていくことえの挽歌だが、これまでにも多くの編曲を手がけてもらったシンセサイザーの松本真昭氏の作曲によって暗いイメージは払拭され、逝く者への心情が素直に表現されていて歌ものっている。
「花散らしの雨」を作詞した本格推理作家の北森鴻氏は山口県の出身で、1995年に「狂乱の廿四考」で鮎川哲也賞を受賞してデビュー。99年には「花の下にて春死なむ」で推理作家協会賞を受賞。多くの著書があるが、病を患って帰郷していた頃BARUさんと山口市の酒場で出会い、「まだ途中だから・・」と照れながらこの詩を手渡されたその半年後に49歳の人生を閉じたのは、まるで歌詞のような散り際だったという。
作曲して歌っている彼女には格別な感慨があるに違いない。
宮﨑 義敬プロフィール
昭和9年山口県に生まれる。
国学院大学にて国文学、民俗学を学び、帰郷して神社に奉仕する傍ら、執筆や講演活動を行う。神社界の役職を歴任し現在、神庁顧問。
著書に「かん蛙」「蛍めし」「人生の師友」「繚乱の人」「占児」などがある。
Produced and directed by BARU
Mastering by Masahiro Hara
Vocal: Baru
Piano:青木弘武
Bass:沼上励
Synthesizer & Piano:松本真昭
販売元:(有)プロジェクト 税込価格2500円